「【新釈】走れメロス他四編」読了
今季活字倶楽部でインタビューありのモリミー最新刊。 現代文学リミックス。
メロス以外の原典読んだ記憶がない。 山月記は読んだ筈だが覚えていない。
- 「山月記」
人の理を超越し損ねて天狗になってしまったオトコの話。
大学には魔物がいるなァ。 もんどり!もんどり!
世界を無視して己が道を行く先は悟りか狂気か…とか。
- 「藪の中」
「一つの事実を多数の視点で語る」手法を映画サークルの奇妙な三角関係でえがくハナシ。
映画バカが監督する、その彼女と彼女の元彼が主演する自主制作映画を巡る複数視点の語る内容は
おなじ映画とその関係者を語っているハズなのに(だからこそ)それぞれの視点の世界がある。
監督の彼女とその元カレがよりを戻すという現実をそのまま材料にしたシナリオに事情を知るもの、知らないもの、
観客は、関係者は、出演者は、そして監督本人は何を思っているのか。
微妙にずれたそれぞれの世界観にそれぞれのキャラクタが浮き彫りにされている。
- 「走れメロス」
最高。桃色ブリーフ万歳! モリミー大疾走。
人を信じる事の出来なくなった横暴な権力者の目を覚ますために、芽野は走る!
友のために! 約束を破るために! 京都の町を逃げまわる!
そんな押し付けられた友情なんてまっぴらだ! 桃色のブリーフ一丁で舞い踊れ!!
- 「桜の森の満開の下」
しまった。もう少し早く読んでおけばよかった。
桜の舞い散る公園で読むのにぴったりだった。叙情的よのぅ。
「山月記」と対照的に自分を見失い世界に迎合し過ぎるハナシ。
何事も中庸がイチバン。
思考する事を忘れてはいけないなァと日々を安穏と過ごしながら。
- 「百物語」
盛り上がらないオールスター。 いい感じにしんみり。
みないほうが面白いと思った傍観者が見えないモノをみてしまったハナシ。
全体的にみてメロス以外は結構おとなしめ。表題作で突き抜けるけど。
次はナニ読もうかな…。長嶋有の夕子ちゃんの近道かな。
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2007/03/13
- メディア: 単行本
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