久々、夢野久作。

  • しばらく放置していた夢野久作全集を手に取る。二編ほど消化する。
斬られたさに
数少ない久作の時代小説。黒田藩に帰る途中に武家崩れの盗賊まがいに襲われていた若侍を助けた愚直な男の話。途中まではご都合主義な御伽噺かと思いきや、クライマックスからラストにかけてこの時代特有のしがらみにとらわれた悲劇になるしんみりとした話。
白くれない
とある古道具屋で手にした漢詩の彫ってある刀身に付随した書付に記されたとある男の半生記と、それにまつわる切支丹寺の呪われた花に関する物語。人が部分的にあっけなく壊れる瞬間を書き出した中々面白い作品。