Fate零、「空中ブランコ」読了。

久しぶりにフィクションモノ読んだ気がするよ。レビュー。

Fate/Zero 4 『煉獄の炎』」
待望の完結編。 んー、はっきり言って普通でした。なんか、思ったより盛り上がんなかったなー。まぁビール飲みながら読んでたからかもしれんが。

バーサーカーの正体予想は全くもってはずれてました。だよねー、途中退場するザコにゆかりのあるキャラなわけないよねー。ジル・ド・レェつながりでジャンヌ・ダルクだと思ってたよ。セイバーのと関連性は全く考えてませんでした。とはいえ、明かされた正体に意外性があるかというとそうでもない訳で。なんか、読んでて予想できたし。予想できたしって、正体明かす直前なんだから誰でもわかるか。せめてもう少し複線か、戦闘に起伏があればー。これ以上長くしてどうする。
バトル自体は色々とあったんだけれどもなんだかどれも薄味な感じ。行く先が決定されてる物語だからなかなか虚をつく展開は難しいのかもねェ。
失礼ながら、感想としては凡作でした。
あ、でもキリツグの過去話はよかった。

空中ブランコ (文春文庫)

空中ブランコ (文春文庫)

トンデモ精神科医・伊良部シリーズ文庫版第二弾。いやー久しぶりのラノベでないフィクションでした。
飛べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、先端恐怖症のヤクザ、強迫神経症精神科医、コントロールイップスの野球選手、強迫症の女性作家。
……あれ、強迫症が2回出た?って言うか、まぁ基本的にみな強迫症みたいなもんですね。抑圧された願望や衝動が鬱屈していって行動がコントロールできなくなると。それをトリックスターなトンでも精神科医・伊良部がいつの間にか治させてると。けして治してるとはいえない。患者達が自分自身で原因に気付いて立ち向かっているから。そこまで持って行ってるのが伊良部の意図なのかどうかは謎。
一番面白かったのは女性作家でした。流行に載せられてスイーツ(笑)な作品を量産し、売れてはいるものの、本当に書きたいものを書いた懇親の作品は全く売れず。だんだん自分の書いている作品のプロットが、過去の作品とかぶっているのではないかという妄想に苛まれるようになって…。お、ちょっとした出版業界批判か?とか期待すると意外なトコにカタルシスが。作家の親友であるフリーの編集者の鬱憤の発露。以下抜粋(していいのかな)。

「何よ、何を怒っているのよ」
「じゃあ話してあげる」さくらが一呼吸おく。目が真剣だった。「私がずっと応援して追いかけてた若手監督がいてね、三年振りに新しい映画を撮ったんだよ。それがものすごくいい出来でね。マニア向けじゃないよ。独りよがりのものでもないよ。洒落てて、高度で、良質な娯楽作品だよ。役者もいい。カメラもいい。試写会で私は泣いたね。そして興奮したよ。これでこの監督はブレイクする。とうとう日の出を見るって―――。それなのに、客が入らないのよ。封切り初日、家でじっとしていられなくて映画館に行ったら、監督とプロデューサーが閑散とした客席の片隅にいてね、もうどうしようかと思ったよ。私だって気付かれてるけど、顔を合わせられない。かける言葉も見つからない。終わった時、私は目礼だけして帰ったよ。監督、健気に微笑んでたよ」
愛子は黙った。荒井も伊良部も下を向いている。
「まだ可能性はある。きっと口コミで広がるはずだって思って、その後も映画館の周りをうろつくんだけど、それでも客が入らない。制作費が安いから、宣伝するお金もなくて、どうしようどうしようと思ってるうちに、たった二週間でレイトショー行き。こんな残酷な話ってある?これが日本映画の現実だよ。入るのはアニメとテレビの焼き直しばっかり。大手企業が出資して、人気タレントを使って、大宣伝して、大動員して、目先の金を稼いで作り逃げ。こんなふざけた話ってある?」
声が震えていた。見上げると気の強いさくらが涙ぐんでいた。
「あの監督、これからどうやって頑張ればいいのよ。年明けの『キネ旬』でベストテンに入るぐらいじゃ癒されないね。セールスを残さなきゃ、次のチャンスなんてなかなか訪れないんだよ。監督の胸の内を思うと、私は当分笑えないね。おまけに、私には何もできない。せいぜいつてをたよって雑誌に売り込むぐらいだよ。いまだに近寄れない。電話もかけられない。せめて、自棄を起こさないでくれって、祈るしかない。関係者にそっと聞いたら、彼、毎日町をふらついてるってさ。どこも行くところがなくて、一人でただ歩き回ってるんだよ。私、それを聞いてどうにもやりきれなくなったよ。」

泣いた。全俺が泣いた。あらゆる表現者達の苦悩がココにつまってます。
>>入るのはアニメとテレビの焼き直しばっかり。大手企業が出資して、人気タレントを使って、大宣伝して、大動員して、目先の金を稼いで作り逃げ。
映画もゲームも音楽も、漫画も小説も一緒ですよ。ファッキン資本主義ですよ。資本主義の豚ですよ(違います)
日本どころじゃないものなァ。ハリウッドだって今やスッカスカの大衆娯楽映画ばっかりで、リンチもクローネンバーグもバーホーベンもデ・パルマも出資してもらえないとか。
要領がよけりゃ、ギレルモ監督みたいに大衆映画で金かせいで、自腹で自分の作りたいものも作れるだろうけど、みながみな、そうできるわけでもないしなァ。
そういうのに大金を出資してくれる道楽的な金持ちはいねーもんかなァ。金持ちって碌な金の使い方しねーからなァ。
…何の話だっけ。