「アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない」読了。

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)

俺が影響を受けまくってる3人のうち一人、町山智浩さんの新刊ですわい。あと二人は殊能将之センセーと米光一成さん。


カルフォルニア州バークレイに在住し、アメリカ映画の最新作から、昔日本でテレビ放映していた古い映画まで幅広く分析する映画評論家であり
現地から見たアメリカの歴史を鋭く見抜く稀有なコラムニストでもあります。 ちょっと気性が荒くなる時もある(らしい)のがたまに瑕とか。


んでまァこの本では近代から現在までのアメリカについて様々な視点からメスを入れるというもの。コラムの花道と内容が結構重複してる。


現在のアメリカで起こり、世界中を巻き込む様々な問題の根本は、アメリカの政治の根幹である「共和党」と「民主党」から始まる。

共和党が堅持する、アメリカの伝統的な保守思想は「自由主義」である。信教の自由を求めてヨーロッパから逃げてきた人々の国だし、イギリス国王の重税からの経済的自由を求めて共和制を勝ち取った国だからだ。

まず経済においての自由主義は、国が介入せずに自由市場で勝手に競争すればお互いに高めあって世の中はよくなる。
アダム・スミス曰く「神の見えざる手」が操ると。コレはプロテスタントの信じる「予定説」であり、共和党は神への信仰に支えられている。
ところが実際は経済を放任していると暴走してしまうので、対策として政府による積極的な介入を行う。

大恐慌を引き起こした共和党の)フーヴァーに変わって就任したF・D・ルーズベルト大統領(民主党)は革新的な景気打開策をとった。政府による積極的な経済介入、公共事業で貧困層に仕事を与えるなどのニューディール政策である。かくして民主党は、富を貧しいものに分配すること、つまり「平等」の実現を党是として確立した。

共和党の「自由」と民主党の「平等」 この二つの対立するイデオロギーが、アメリカを動かす左右の車輪である。
自由主義が暴走すれば格差社会が広がり、平等主義が暴走すれば共産主義になる。


そして今のアメリカは共和党による自由主義の暴走状態である。 さらにもうひとつこれと絡みあい相乗効果でアメリカを貶めるものがある。
福音派という宗教だ。


福音派は聖書に書かれていることをすべてそのまま信じる「聖書原理主義」である。
この宗派の特徴は、「無知こそが尊いものであり知識は悪しきものである」という風潮がある。
これと暴走した自由競争による格差社会の拡大の成れの果てが
抜け出すことの出来ない低学歴、低所得層による犯罪率の増大と、それらを搾取する大企業の利権と談合とによって政府すら支配する悪循環だ。


さらにはアメリカは自らのドル通貨を広め全世界で自由競争を押し広め資本主義ゲームを始めた。
このゲームのチップをドルで行い、元締めとして儲けようともくろんだのだ。


しかし自由競争の資本主義は安い労働賃金と手付かずの資源があふれる国のほうが有利だ。
結果、アメリカはこのゲームに負け、いまやドルが大暴落している。


さて、この国は、そして世界は一体どうなるものやら。


と、まァほとんど受け売りコピペでまとめてみましたわい。夢も希望もないわい。


こんだけ内容盛りだくさんで1000円(税別)はオトクですわ。
日本じゃ珍しいペーパーバック装丁だからです。向こうはペーパーバック多いらしいし、アメリカ在住の町山さんらしいわい。