「サクラダリセット」読了。

活字倶楽部の広告の、乙一推薦文に惹かれて購読。

能力者が集う街、咲良田に住む少年、浅井ケイは瞬間記憶能力者である。
そして、彼と行動を共にする春埼美空は、「リセット」の一言で、3日以内に「セーブ」した時間まで世界を巻戻せる。
そして、ケイの記憶は「リセット」に干渉されない。つまり美空の能力と組み合わせれば過去をやり直すことができる。


……って、今気付いたんだけどケイがいなかったら美空って自分がリセットしたことすら気付かないな。


咲良田には、能力者を取り締まる管理局があり、咲良田の高校には管理局員が顧問を務める、能力者の「奉仕クラブ」がある。
もちろん、ケイと美空は奉仕クラブに所属し、ある日、顧問の津島信太郎から一人の少女の依頼を命ぜられる。
彼女の依頼は、「失踪し、事故死してしまった猫を助けて欲しい」というものだった。そして……。


まァ、そんな世界観と導入でございます。
制限付のタイムリープとか、ちょっと厭世気味な少年少女とか、あと猫とか、思春期が炸裂なシナリオと文体で、清らかでさわやかでくすぐったくてむず痒いです。
でも多分、伝えること、伝わること、理解すること、信頼すること、盲信すること、拒絶することをひっくるめたコミニュケーションについて切実にありたいという物語だと思う。

「互いの言語を知らなくても、互いに勘違いしていても。それでも私は貴方の言葉を理解して、貴方に言葉を伝えられると信じている」
「無理だよ。そんなの、奇跡の領域だ」
「でもきっと貴方は生まれた頃、この世界の言葉を知らなかった。それから言葉の意味を一つも間違えることなく、すべて正確に理解してきたと思う?」
そんなことはない。でも、咄嗟には答えられなかった。
彼女はほほ笑む。
「その程度の奇跡も起こらないような世界なら、きっとはじめから言葉なんて生まれない」

……ん、どういうこと?