赤朽葉家の伝説読了。

ちょっとまってん、コイツ年いくつ? みたいな。
第一章の53年、祖母の赤朽葉万葉の昔語りの回想・製鉄業の旧家に嫁ぐ千里眼奥様からはじまるこの物語は、
第二章の75年にその娘の高度成長期、バブル経済期に青春を激烈に生きた母・毛鞠につながり、
そして第三章の2000年、平成のわたし・瞳子につらなり、未来へとつづく赤朽葉家の、そして日本の歴史。

  • その時代時代の説明って言うか、解説というか描写が面白い。 今だから分析できるその時代みたいなものなのだろうか。

にしたってよく知ってんなァと思った。 調べれば分かるものなのか。
東京オリンピックの年の高度経済成長の波と、若者たちの退廃の空気。
80年代前後のフィクションに浄化された強者のポーズ。 
思想もなく、社会もなく、不良文化と言う共同幻想に燃える若者の巨と虚の物語。
全てが終了したこの国をただ、漂うようにして育つ世代。

  • 実際にその時代に生きてきた人がどう感じるかは分からないが、この著者が物語を作り上げるためにそれぞれの時代を調べあげ、考え抜き、紡ぎ出したこの描写はとても丁寧に出来ているとおもう。第二章で末っ子の孤独がノストラダムスの大予言や冷戦の核攻撃による未来の消失を妄信し諦観の念にいたるのは今だからこそ馬鹿馬鹿しいハナシだけれどもMMR大流行時に多感な小学生だった自分にはものすごいシンパシーをおぼえる。

いや、思い出すだに恥ずかしいけれども、アレはずるいよなァ。そら世をはかなむっちゅうねん。

  • (美)少女小説家を称するだけあってこの作者の少女描写もステキ。

万葉の地球が丸い事を知ったときのショックや、出目金と兄じゃの出来事。
毛鞠とチョーコのエピソードや青春の終わり、恋愛がとめる時間。
社会の享受。 うつくしいせかい。


人の夢と描いて儚いとよむんじゃい。 面白かったんじゃい。

赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説

  • 次はやっとこさ「フェイト/ゼロ2」に手を出します。っていうかもう半分消化。

ぱんつはいてないイスカンダル王、どの層へのサービスなんだそれは。