ガガガ文庫と現代ロシア文学。

  • 昨夜リビングでKanonのDVDの続きを久しぶりに見ていたら、父親と言う名の酔漢が「オレモテレビミル」とかのたまわった挙句、ソファーで病的ないびきを響き鳴らしていたので諦観の念を抱き早々に自室に戻りました。

リビングのDVDプレイヤーじゃないと見れないのだよ、DVD−RAM。
あまり父親の言動に関して考察するといたたまれなくなるのでその思考は排除。

  • おかげで普通に朝起きれたので、たっぷり読書にいそしむ。多少雑事はありましたが。そんなわけでレビュー。

幻獣辞典は…もう充分面白いトコ抜き出したから省略。最後の訳者あとがきによる解説が、幻獣と同じ扱いでボルヘスを紹介すると言う趣向になっていて笑う。MMRやムーもかくやと言わんばかりの深読みに脱帽。

読書家が敬遠するベストセラー本を代わりに読んで解説してあげましょうと言うコンセプト。
ファビュラス・バーカー・ボーイズのガース柳下さんみたいなもんでしょうか。
最初はくっだらねー本が流行るんだなァなどと「愚民どもめ」な視点で読んでたんですが(何様だ)
その本が流行る理由と、その社会、文化、時代背景のつながりの考察がすばらしい。
ああ、自分が「朗読者」に感情移入できなかったのがなんとなく判った気がするよ。カタルシスもないし。
さらに類似系統の書籍の知識の豊富さもすごい。 オイラ実用書もビジネス書も歴史書も興味ないもの。
自分が書店でバイトしていた時期のベストセラー本が多かったので、当時の記憶も相まってかなり面白かった。
また、解説を書いている3人の「ベストセラー本ゲーム化会議」とダブる作品も多く、読んでないのに読んだ気分になりました。まァ読んでない本についてはあまり作品内容について語るべきじゃァないことは忘れずに、自分。

CROSS†CHANNEL」「家族計画」「星空ぷらねっと」などの(エロゲ)クリエイター、田中ロミオの初書籍。
あとがきで「未成年が私の名前検索すると違法になりそうなんで気をつけて!」みたいなコト書いてて笑う。
内容は人類が衰退の一途をたどるセカイで、新人類として謎の多いほんわか癒し系な妖精さんと、新米調停官の(一見)ほのぼのすとーりー。
何故一見なのかと言うと、個体ではゆるゆる天然癒し系生物な妖精さんは、楽しそうな雰囲気に群れ集い、数が集まるとヒトには理解できないほどの知性を発揮します。なので一旦コミュニティを形成した状況でちょっと目を離すと一日千秋の単位で文明を発達させます。ただ、食料摂取を必要としないので文明の発達は基本的に娯楽。飽きたらすぐに離散します。
なので個体とのほのぼのコミュニケーションにうかつな発言をすると、新米調停官をかみさまと認識する妖精さんたちは驚くべきベクトルに進化しちゃったりします。 なんかポピュラスとかアクトレイザーを思い出しました。前者はやったことないけど。
なんとなく、竹本泉の「ねこめ〜わく」も思い出しました。
あと妖精さんの集団返答がゆるくてちょい毒でとろけます。

「あったようななかったような」
「ありました」
「なかったようなあったような」
「ありましたってば」
「あったようなあったような」
「あなたたちはメモすることを覚えるべきですね」
「きおくのはざまでゆらゆらゆれるです」
揺れないで欲しい。

「お元気そうですね」
「おげんくです」「むだにげんきです?」「いきいきいきてますが」「ちりあくたみたいなぼくらです」「なぜかいきてます」「ふしぎだー」「いきてるってふしぎです」「じつは、いきていないのかもです」「せかいはもしかするとじぶんひとりのまぼろしかもです」「きのうあたりからいきてるです」「そういえば、いきてます」
「あほほ…」
いろいろな価値観があるようです。
あまりふれたくない意見も多々ありでしたが……。

二回ほど出るんですか「いきてるってふしぎです」って「どきどきポヤッチオ」のOP曲?

「CUBE」と「リリイ・シュシュのすべて」を足して2で割ったかんじ?けして電車男ではない。
「CUBE」って言うか乙一の「SEVEN ROOMS」のほうが近いかな?
まあ、つまりは8人の監禁された男女がチャットでコミュニケートしながら抽象的な会話をするわけなんですが、ぶっちゃけ最後わかりませんでした。 クライマックスで盛り上がってる事は分かるんですが、何故そうなったのかがオレは理解できてません。さ、再読しなければならないのか。まあチャット会話のみだったんで読みやすいんですが。
ロシア人の認識では日本のポルノアニメの一貫したテーマに、まるで強迫観念のように無数の触手を持った悪魔が少女を陵辱するというモチーフがあるらしい。いや、まあ触手モノが日本特有なのは知ってましたが、それについて

モンストラダムス
このモチーフは、日本において第二次世界大戦の敗北によって生じたにもかかわらず、戦後ずっと意識化に抑圧されてきたフラストレーションを反映しているのだよ。こうしたアニメで犯される少女は、日本の民族精神を象徴している。一方、ペニスに似た無数の触手を放っている悪魔は、西洋型の現代企業経済を象徴しているのだ。
ナッツ・クラッカー
それはもしかしたら、単に蛸なのでは?
モンストラダムス
蛸だって? 独創的だね。私はそんな事は考えても見なかった。

いや、蛸でしょ。江戸時代の春画にもあるし。 まァなんか無意識の抑圧云々でもいいんだけどさ。
そのほか面白かった会話に、自由意志について

ウグリ666
(中略)私たち自身が自分の道を選ぶのよ。だって神は私たちに自由意志を与えてくださっているのだから。
ナッツ・クラッカー
自由意志だなんて、笑わせないでくれ、ウグリ。人生は屋根からの落下のようなものさ。止まることができるかい?否。後戻りできるかい?否。横へと方向転換できるかい?そんなことは、水泳パンツのコマーシャルの中でだけ可能なのさ。自由意志というのは、要するに落下中にたわ言を言うか、地面に激突するまで黙っているかのどちらを選択すべきかと言う問題に過ぎない。古今東西の哲学者が論じてきたのは、このことさ。

ううん。ペシミスト


次は…そろそろゲームするかな。Fateの続きを…。ああ、その前にテースト・オブ・苦虫〈4〉ぐらいは読んでおくかしら。