「1000の小説とバックベアード」読了。

毎回密度の違う本を読んだ時に思うんだが、一月ほどかかった「ドグラ・マグラ」との差。
ユヤタンもだんだん作風が固まってきた感じ(遅い)なんつーか読んでて恥ずかしくなっちゃうよ。

小説家はきれいな嘘を吐くことに卑しみも苦しみも感じず、むしろ肯定的な心でうっとりしながら世に出す能力に長けていた。それゆえ読者もまた肯定的な心でうっとりしながら本を読める。
だけど僕のような何も信じていない人間が恥ずかしがりながら書いた小説を読者が読んだら、顔を赤らめ、やがて本を閉じるだろう。恥ずかしがりながら演じる役者、恥ずかしがりながら歌う歌手、そんなものは誰だってみたくない。

さすがユヤタン。しっかり自覚しとるがな。
青臭いコト書かせたらもう恥ずかしくて悶死しますね。

「違う……子供じゃない。僕は子供じゃなくて二十七歳です!」僕は怒りに任せて立ち上がり、すぐ横に立つアンチさんをにらんだ。「飛ぶには知りすぎて、留まるには知らなさすぎる苦しい時代としての二十七歳です。正義の味方になるには年老いすぎて、老師になるには若すぎる切ない時代としての二十七歳です。今の僕にできるのは、いい仕事をすることだけだ。だから……僕、ほとんど成長していないし実感もしてないけど、ここから出なくちゃいけないんです。書かなくちゃいけないんです。こんなところで死んでる場合じゃないんです。」

青臭いぜ。そしてまた身に覚えのある煩悶だぜ。 悶死。