「脳内恋愛のすすめ」読了。
「電波男」で衝撃を受けた本田透のアンチ恋愛資本主義啓蒙本、最新刊。
現在の資本主義社会が推奨する恋愛なんてツラか権力によって経済を動かすためのシステムに他ならない。
真に愛によって全ての人間に救済を求めるのであれば、脳内恋愛以外に方法はない!とかなんとか。
脳内恋愛云々はともかくとして、現在のマスメディアによって持てはやされている資本主義恋愛がクソッ垂れなのは全く持って同意ですね。
コレをやればもてるだの、コレを買えばもてるだのは企業の市場拡大のためのプロパガンダにファッキン他なりません。俺は俺がやりたいことやるんじゃい。
そのほかに面白かったトコを抜粋。
この世に弾圧と差別を発生させる「悪」の原因は「教義」や「思想」ではなく、支配する「体制」そのものにあるのだ。「体制」とは自らを維持する目的のためには個人を圧殺するものなのだから。故に体制を妥当した救世主が作った次の「体制」もまた、同じことを繰り返すのだ。
革命によって、王政が滅びようと、貴族が処刑されようと、イデオロギーが変わろうと、圧制から開放された人々が次の時代にまた格差を生み出すのは「体制」に因があるとさ。
つまり、一口にアキバ系、萌え系といっても、一つの萌えキャラクターに恋愛感情・愛着感情・性欲の全てを見出そうとする一点突破方の受け手と、それぞれの感情の対象を異なるキャラクターに振り分ける機能型の受け手がいると思われる。
コレはよくわかる。って言うか、よくよく考えれば普通は気づくべきなんだ。ろりぷにアニキャラに萌え萌え言ってる場合、それは「かわいい」というスタンスで言っている。つまりは子犬やあかんぼう見て「かわいい」って言ってるようなもんだ。それをさもロリコンだのペドフェリアだのと解釈して、誤報を垂れ流し、あまつさえ悪乗りした(時にはマジな)特異点を抽出してはまた捏造気味にプロパガンダを垂れ流す。
余談ですが、昔バイト中にキティちゃん柄の浴衣を着てた幼女を見かけ「あ、あの子かわいいですね」と微笑ましい話題を口にしたら「ダメよ!!」と窘められました。
どういう意味じゃい。
ショーペンハウアーは、人間の持つ愛情はほとんどすべてエゴイズムだが、唯一利他的な愛情がある。それは「同情=共苦」である、と書いた。仏教で言うところの「慈悲」に近いのだが、ショーペンハウアーらしいのは、同情はまず、他者に同情する本人が同じく脳を抱えていないとできないのだ、と説いたところにある。人間は本当に他人の苦悩を理解することなどできない。だから、自分の苦悩と他人の苦悩を同一視して類推することからしか、「同情」は生まれない。そしてこの「同情」だけが、本能と欲望にまみれた人間に利他的な愛情を抱かせてくれる道なのだ、というわけだ。
あれですね「だれも俺のキモチなんてわかってくれないんだ」とかほざくヤツに「当たり前じゃねーか」って言うもんですね。他人の気持ちなんざ分かるもんかと。自分のことすら分かっているとは言いがたいのに。せいぜい自分と比較してどの程度か類推するのが関の山ですわ。気にかけてもらうだけありがたく思いやがれとか、そう思いますな。
そんなこんなでこれまた面白い本でした。3章目が編集の意向で著者の黒歴史が語られてますが、まァこれまた特異点ですね。
この著者はなんつーか、アキバから来たツァラトゥストラって感じですね。別に秋葉原出身ではないけども。
- 作者: 本田透
- 出版社/メーカー: 角川学芸出版
- 発売日: 2007/12
- メディア: 単行本
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