「虎よ!虎よ!」読了。

ようやっと「虎よ!虎よ!」を読み終わりました。タイトルだけは聞いたことがあり、「ゴーレム 100 (未来の文学)」を読んだ際に同じ作者だと言うことに気付き、読みたくなったものの、意外と絶版になってたんですが、つい最近復刊。近年ちょいちょい名作SFが復刊してきててにわかSFファンには嬉しい限り。
さて、この作品は「ジョウント」と言うテレポート能力が人類に広まった近未来が舞台。
そんな世界に、宇宙空間の中で難破してしまった貿易船にただ独り生き残った男がいた。彼は百七十日間もの間、孤独に苛まれながら宇宙を漂流していた。
そしてようやくこの船に気付き、接近してきた宇宙船に、喜び勇み、救助信号を打ち出し、希望を持ち出した。
が、見知らぬ宇宙船は、彼を見捨て彼方へと飛んでいってしまう。
失意の底に打ちひしがれた彼は、その船への復讐の炎を燃やし、平凡な人間には到底出来ないようなことをやってのけた。
そして、彼は宇宙間を揺るがす恐るべき惑星間戦争に巻き込まれ、その戦局を左右することになる……。


と言ったトコでしょうか。ジョウント便利だなー。ジョウントには自分がいるとこと、行き先の位置・高度・状況を認識している必要があるので、自分がどこにいるか分からない場合と、行ったことのない場所にはジョウントできない。なので万能と言うわけではないんだけれども、まァ車は要らんな。
今回は物語に引き込まれてあまり付箋を貼る暇がなかったんだけど、ラスト付近でおもしろかったトコを引用。

「諸君はブタだ。ブタみたいに阿呆だ。おれのいいたいのはそれだけだ。諸君は自分の中に貴重なものを持っている。それなのにほんのわずかしか使わないのだ。諸君、聞いているか?諸君は天才を持っているのに阿呆なことしか考えない。精神を持ちながら空虚を感じている。諸君の全部がだ。諸君のことごとくがだ……」
嘲笑が浴びせられた。彼は憑かれたようにヒステリックな情熱で言葉をつづけた。
「戦争をやって消耗しつくすがいい。惨憺たる目にあって考えるがいい。自分を偉大だと思い込むために挑戦するがいい。後の時間はただすわって怠惰におちいるがいい。諸君は、ブタだ! いいか、呪われているんだぞ! おれは諸君に挑戦する。死か生か、そして偉大になるがいい。きさまたちが最後の破局を迎えるときには、このおれを、ガリー・フォイルを見いだすのだ。おれは諸君を人間にしてやる。おれは諸君を偉大にしてやる。おれは諸君に星を与えてやるのだ」
彼は消えた。

コレはいいアジテーション筋肉少女帯の「パブロフの犬」とか思い出しますね。老人は泣きながらこういうのであった!