「”文学少女”と繋がれた愚者」読了。

さくっとラノベも読了。文学少女第3巻。
今回は武者小路実篤の「友情」をモチーフに寡黙な文型硬派・芥川君のエピソード。腐女子もキュンキュンくるおはなしでした。
文学少女”遠子先輩の渾身の熱きパトスの叫びに感動。

「本を閉じれば、物語は終わってしまうのかしら? いいえ! それはあまりにも味気ない読み方だわ。あらゆる物語は、わたし達の想像の中で無限に続いてゆくし、登場人物たちも生き続けるのよ。
わたしたちは、その物語を、明るい光に満ちたものにすることも出来るし、悲しく切ないものにすることもできる。だから、“文学少女”であるわたしは、彼らの未来が素晴らしいものであると想像するわ!

ある意味、同人誌の根幹だと思う。
原作では描かれないエピソードを「こうであればいい」「こうであってほしい」という思いで想像し、妄想し、想いを込める。
そりゃ自分勝手なものを妄想することもあるだろう。でも、その物語を読んで、心に残ったその人々は、もはや自分の分身も同然なのだ。
彼らを想い、紡がれる物語は、そのまま自分を映し出すことだろう。

「賢くなろうとするあまり、あれこれ思い煩って、立ちすくんでしまわないで! あなたをつなぐ鎖に囚われないで!
未来は明るく素晴らしいと、お目出たい想像をしてみて! 想像がゆきすぎて失敗してしまうことも、惨めな思いや恥ずかしい思いをすることもあるかもしれないし、誤った想像で他人を傷つけることは、もちろんいけないことだわ。けれど間違って転んだら、また立ち上がって、歩き出せばいい!
苦しい思いをしても、それは、あなたが未来に、今、復讐されているだけなのだから、がっかりしないで。どうせ、わたし達は愚かなのだから、どんなときも、心に理想をかかげる愚か者であって。失敗を恐れず行動する愚か者であって。
愚かでもいい。あなたはあなたらしく、あなたの声で、あなたの言葉で、あなたの思いを、あなたの真実を存分に語って! あなたの心で、あなたの行く道を決めて!」

ジョジョ5部の眠れる奴隷や、今週の町山智浩アメリカ映画特電の「グラウンドホッグ・デーとニーチェ」の永劫回帰のように
運命や、見知らぬ未来を恐れるあまり手も足も出さず思い煩うよりも、後悔しない信念と、起き上がれる目覚めと、今を生きていく力を持とう。
たとえ愚者と思われようと。

“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)

“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)