「老人賭博」読了。

結局、受賞者ナシとなった芥川賞ですが、候補作となっていたので購入して、結局は受賞結果までに消化が間に合わなかったこの作品を読了。

老人賭博

老人賭博

もともと、九州産業大学出身な松尾スズキの描く、北九州のシャッター商店街を舞台にした物語。
とある境遇によって、歪な人生と哲学を持ち合わせるようになった主人公が、ひょんなきっかけにより映画関係者との繋がりができ、微妙な映画の製作にかかわることになる。
その現場では、グダグダな人々たちがなし崩し的にギャンブルに堕ちて行き、他愛無く、心無い状況へと転がってゆく。


著者の地元の(?)コトバと言うことで、違和感なくリズミカルに綴られる田舎の博多弁と、どうしてもズレた人々の行動により連鎖的に転がり落ちていく最悪な状況。
誰も彼もが自分なりの哲学と生き方を、勢い込んで、もしくは自然体で行動するたびに、もつれにもつれ、イビツにユガみ、あれよあれよと最悪なワンダーランド。
無邪気に黒く、滑稽に気高い人々の人間性が描かれるペシミスティックなブラックコメディ。