「映画は父を殺すためにある」読了。

町山さんの解説と、それに準ずる映画と通過儀礼に関しての本ということで購読。

映画は父を殺すためにある―通過儀礼という見方 (ちくま文庫)

映画は父を殺すためにある―通過儀礼という見方 (ちくま文庫)

町山智浩の映画批評によく引き合いに出される、映画が描く通過儀礼の根幹となった著者の映画論。
単なる「生きて戻りし」物語だけでなく、様々な映画に共通するシーンの分け方や、ガジェットの使い方などを比較、照らし合わせて、より深く映画が描く通過儀礼について論評している。
特に、「櫻の園」における青春と部室の広さの演出はその解説を読むだけで胸が熱くなる。
また、アメリカ映画に対しての邦画。黒沢、小津、そして寅さんシリーズにおける日本の通過儀礼の描き方を順序立てて批評して見せる。
そして歳を重ねるごとに変わる世界観と、それを写しだしてくれる映画というそれ自身の通過儀礼を教えてくれる。


また、町山智浩の解説による、自身の通過儀礼エピソードも感慨深い。