「アズミ・ハルコは行方不明」読了。

ここは退屈迎えに来て」で地方都市の女子を鮮烈に描きだした山内マリコの新作。

アズミ・ハルコは行方不明

アズミ・ハルコは行方不明

東京都内と地方都市の、フットワークの軽さと抑圧の長さの、サブカルかぶれの格差を交差して如実に描くキルロイの設定は身にしみた。
地方在住ながら何かのきっかけでアンテナを高く掲げているつもりで、地元のカルチャーをバカにしてサブカルに耽溺している自分を、
地方と都内と、知識と体験とを、二重に透かして、揶揄されているような気まずさを感じた。
そして、自分が持ちえない女性目線から、異性としての普遍的な滑稽さをも浮かび上がらされてる印象もあった。


そこまでの多様な味わいがあったけれども、妙に物語に治まりがついてしまってるために
いかんせん、こじんまりとした読後感になっている印象が否めない。


もっと、エッジーな切れ味の短編の方が好みかなーと、地方の実家で、本を閉じるのであった。