「三の隣は五号室」読了。

長嶋有の新刊。

三の隣は五号室

三の隣は五号室

第一藤岡荘の五号室。 少し変な間取りの部屋に、何十年もの間、何人もの住人が移り住んでいった。
一人で、二人で、夫婦で、家族で。 学生が、社会人が、老人が、外国人が。料理をし、食事をし、掃除をし、入浴し、床に就き、床に臥せ、目を覚ます。
大きなベッドを持ち込む人もいた。エアコンを設置した人もいた。ガスコンロを使わない人もいた。タバコを吸う人もいた。障子を外す人もいた。
水道の蛇口が残っていた理由。 畳についた跡の理由。 障子に空いた穴の理由。 窓の手すりの針金の理由。
かつてそこに住み、日々を過ごし、そして去って行った人たちの日常と痕跡。
見逃してしまいそうな日常のサンプリングの面白さ。 長嶋有らしい。