「短くて恐ろしいフィルの時代」読了。

そんなイベントに参加するというので、前述のこちらを消化してました。

短くて恐ろしいフィルの時代

短くて恐ろしいフィルの時代

テレビブロスの書評連載で、某作家の某作品をクソミソに貶した際に、その作家の盲信者から「だったらテメーのおすすめの寓話作品を言ってみろや」と喧嘩を売られた際に挙げていた作品。


人一人しか住めないほど小さな国、内ホーナー国。その周りを取り囲む大きな国、外ホーナー国。
内ホーナー国に入りきれない国民は、外ホーナー国との境の「一時待機ゾーン」で入国の順番を待っている。
しかし、ある時、外ホーナー国のフィルという男によって、二つの国とそれぞれの国民の関係性が悪化しだし……。


この物語の登場人物たちは、それぞれ何かの機械のようなものと植物のようなものが混じった、まるで子供が山の中のスクラップ工場で作ったお手製の人形のような混成物。
そんな中、この物語のキーパーソンであるフィルは、ことあるごとに脳みそが転がっていっては声をあらげ、民衆を扇動して、事態を悪化させる。
この描写が、まるで他者を非難し、卑下し、排除する人、また、その行動には知性がないということを諮詢しているようで、面白く、恐ろしい。


ラストの一段落を読むと、なるほどこの物語が語っていたものが何なのかがよくわかる、よくできた寓話だった。
映画化しないかなー。