チェンジ。

どうにも植物怪異伝説新考〈上〉 (中公文庫BIBLIO)が読み進まないので日本古代文学入門にチェンジ。
うわーい。よみやすーい。 もう3章まで読み進み候。
一章の「一 生と死の起源―イザナキとイザナミ」にてあの有名な黄泉の国のミルナの禁のハナシを取り上げるんですが、結構自分が知っているのと違う。
死んでしまったイザナミを生き返らせようとイザナキが黄泉の国を訪れ、連れ出す際にイザナミが黄泉の国を出る前に「顔を見ないでください」って言うヤツ。最後の最後でイザナキが振り返って顔を見てしまい腐敗したイザナミに恐れを抱き櫛を投げつけて逃げちゃったみたいな話だと思ったんですが、似たようなギリシャ神話か何かとごっちゃになったのかな?実際(?)は会いにいった場所で待ちきれなくて明かりを灯したイザナキの目に映った蛆だらけのイザナミにやっぱり恐れをなして逃げ出すんですが、その際昔話の「3枚のお札」的追いかけっこの末、扉をはさんでイザナミの「一日に千人の頭をねじり殺してしまいますよ」といい、イザナキが「それならば私は一日に千五百の産屋を建てようぞ」とのやり取りがあったとか。面白いけど、イザナキ、テラヒドス。
また、イザナキの逃げるさいに、追っ手をまくために桃が役立ったので、その桃の実に告げて「中つ国に住んでいる命ある青人草を助けてやって欲しい」みたいなことをいうのですが、ココで面白いのが「青人草」っての。
訳は「現実の生き生きとしたような人である草」で、「草のような人」ではなく「人である草」という事。
つまり古代の人々は、人は生き生きとした草だと考えていたという事。
この発想と、イザナキ、イザナミの千人の死と千五百人の誕生が、「草は枯れたら死んでいくように、人も死んで腐ってしまうけれど、草は死ぬ前に大地に種を落として、そこからまた新しい草が生えてくる、そのように人も草として、また生まれてくるのだ」という循環的な考え方として人の生と死が認識されていたのだという古代の人々の思想が表れているわけで、ええ、いいなァ、コレ。
ちなみにイザナギイザナミは兄妹かつ夫婦という元祖妹萌えなハナシなわけで、いや結構ホラー展開だけれどね。