「ドグラ・マグラ」読了。

  • 一月ほどかかったんじゃなかろうか。ようやっと読了。往来に出るシーンなんてあったのね。すっかり忘れてました。昔読んだ記憶では入れ子構造の繰り返しが強烈に印象に残っていたけども、階層的には3、4階層ぐらいかな。意外と少なかった。ただ同階層で並列的にいろいろな論文や談話やチョンガレ節など文体を変えているので多面的な展開になっている。

自分が誰だか分からない状態で脳髄、記憶、思考に関する破天荒な論文を読み終わるとさっきまでいた筈の人が居らず、死んだと言われていた論文の著者が目の前にいる。そして話を聞くとさっきまで自分と話していた人物は自分を利用して著者を陥れようとしていた。いや、その著者こそが自分の遺伝的な精神疾患を題材に2世代に渡って翻弄し続けた張本人だ。いやいや寧ろ、その二人が己が研究のタメに互いを出し抜きながら自分を利用している者たちだ。そもそもこの自分というのはダレなのか。まるで終わりのない夢のようなこの展開。読めば一度は精神に異常をきたすと言われております。さて異常とは、いかなる状態か。とりあえず巻頭歌の引用でお茶を濁しときます。

胎児よ
胎児よ
何故踊る
母親の心がわかって
おそろしいのか

ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)

ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)