「虚無への供物」読了。

  • ドグラ・マグラ」「黒死館殺人事件」とともに、「日本探偵小説史上の三大奇書」「日本文学の「黒い水脈」」といわれる「虚無への供物」をようやっと読了。講談社の新装文庫版で。
  • 氷沼家を舞台として繰り広げられる奇妙な殺人事件。その現場に居合わせた主人公たちが推理合戦を交わすが、推理は衒学趣味の様態を呈し、いよいよ混迷へと陥っていく…とwikiに書いとります。わー、手抜きだー。

この衒学趣味で繰り広げられる推理がすごい。基本的に3〜5人が何度も推理合戦の場を設けて各々が見つけ考え出した推理を発表しては他の人の推理を潰していくんですが、潰したはずの推理が後々奇妙な符合を起こす。否定されたはずの容疑者が再浮上する。いない筈の人物が実在する。嘘だったはずなのに本当になる。
って言うか、推理を否定する材料として「それはノックスの十戒に反するからダメ」ってどうよ。ココらへんがアンチ・ミステリーといわれる所以?推理小説内で推理小説のルールについて言及するわけだから一種の劇中劇みたいなものになるのかしらん。また、事件の見立て、手がかりとしてあげられる符合の種類の多さ。五色不動縁起に色彩学、シャンソン、アリス、薔薇談義etc...が上記の通り思いついては潰され、再浮上していきます。さらに容疑者の内面を探るために行われるマージャン大会。戦後日本の時事を交えて展開していく事件。アタマっから最後まで、さりげないシーンや印象的なエピソードに散りばめられた伏線の数々。(多分、自分が気付いてない伏線もあると思う…。ダメじゃん。)全編通してまったく退屈しないスバラシイ作品ですわ。
流石、時代を超えて絶賛される作品。大いに楽しめました。
新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫)新装版 虚無への供物(下) (講談社文庫)

  • さて、あと残すは「黒死館」か…ポケミスで出てるよなー。文庫ではないのかな?

e-honで「黒死館殺人事件」を検索してみる…。
……意外と少ない! なおかつ高い!! 何だ7000円とか8000円とかって。4桁はデフォルトかよ。
ポケミスで買おう…。ジュンク行けばあるかな?最近ポケミスフェアで喜国サンが推薦してたし。
まァその前に……少なくとも「バイバイ、エンジェル (創元推理文庫)」ぐらいは消化しとかないとなァ…。