萌えキャラ殺しの西尾維新。

一作目「君と僕の壊れた世界」にて極悪ハーレムエンドを描いた西尾維新がまたもや不安定になるような青春ミステリをつくりましたわい。前回のキーパーソン病院坂黒猫の従妹、病院坂迷路が登場。って言うか、世界観が同じなだけで前回とは舞台も登場人物も別。前回は高校生男子の主人公、一つ下の妹、親友…あとなんだっけ、幼馴染の女の子と、保健室登校の奇人で、まァタイトル通り最終的に壊れた世界でセカイ系を築く人によってバッドエンドかハッピーエンドか評価の分かれるハナシでした。
んで今回は中学生男子の主人公、一つ上の姉、彼女と同じ部で幼馴染同士の男女、あと主人公の同級生。…んー、微妙に対照的な構成。まァ今回もなかなかに消化不良をおこす話でした。思春期でコレ読んじゃうと、どんな影響うけるか戦々恐々。んで、西尾維新はデビュー作「戯言シリーズ」で3作目あたりから「萌えキャラ殺し」との異名が囁かれるほど新キャラだろうが、人気の萌えキャラだろうがサクサクと死んでいくんですが、しかも死んだその巻以降も、死んだコトに触れずに回想シーンで出すという叙述トリックを使うので、たとえシリーズの途中から読んでも、その該当する話に突き当たるまで想像が付きません。 んで、今回の話も第一話「もんだい編」を読んでいる時に「このキャラのビジュアルってどんなのだっけ」と思って、各話の頭に見開きで載ってるイラストをみようとパラパラと第二話「大もんだい編」をめくったらうっかり第二話の第一文節が目に入ってしまい……思いっきり死んでましたよ。いや、まァミステリなんで死ぬのは当たり前なんですが、誰が死んだかでビックリしましたい。金田一少年で言えば第一話で美雪が死んじゃう感じ。そして最後の最後まで予想が付きませんでした。いや、してないことはなかったけども、あいも変わらず一筋縄でいかない作者だこと。

不気味で素朴な囲われた世界 (講談社ノベルス)

不気味で素朴な囲われた世界 (講談社ノベルス)

さて、次は「バニー・レークは行方不明 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」に着手。少し頭のほう読んでみて、なかなか緊張感があっていい感じ。まァネタバレを聞いてしまって2/3ぐらいオチ知ってるんだけどね。そのあとの展開に奇態…まちがえた、期待。


追記。「きみとぼくの壊れた世界」の次が「不気味で素朴な囲われた世界」で、なんで「きみとぼく」シリーズなんだと腑に落ちなかったんだけど、「ぶ『きみ』でそ『ぼく』な か『こわれたせかい』」ね、なるほどね、言葉弄りの好きな作者だこと…。