紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像 (ちくま文庫)読了。

「趣味は読書。」で斉藤美奈子を知り、洞察力と着眼点の素晴らしさに目からウロコをぽろっぽろ零してたんですが、他の作品はテーマがあんまり興味がないなァと手をつけなかったオレ愚か。先日、文庫新刊「文章読本さん江」が出てたので、特に興味なかったけどなんとなく購読してみたら、これまた面白くってウロコぽろぽろ。考えを改めて前の作品も買うことに。
ッつーワケで読み終えました。
子供向けの物語や、アニメなどでの女の立ち位置に目をつけ、「男の中に女がひとり」の紅一点なヒロイン像と、それを取り巻く世界を看破する最良のエンタテイメント論評。
まず、ヒロインが活躍する世界観を「変身ヒーローもの」を代表とする「男の子の国」と、「魔法少女もの」を代表とする「女の子の国」とに分類する。
前者はモモタロウ文化ともいえる英雄譚、後者はシンデレラ文化ともいえるお姫様もの、姫君婚姻譚である。
この二つの文化、世界を更にこまかく分析すると、ソコに浮き出てくるのは「大人の国」の模型であり、「男は、女はこうあれかし」というイデオロギーのお手本である。
またこの二つの世界に存在するヒロインは4種類に分けられる。
曰く、王子様と結婚するお姫様。
曰く、犠牲を払って戦う少女。
曰く、主人公の命を狙う魔女/まま母
曰く、救済者としての女神/慈母
これらのヒロイン達はそれぞれがそれぞれ、あらゆる物語にその役割を受けて配置され、その根幹にある暗喩を含んでいる。


この分類を駆使して、男の子向け、女の子向けのアニメと、それらと相似の構造を持つ、伝記のヒロイン達を考察し、解体していく。


いや、面白かった。これまた目からウロコがぽろっぽろ落ちましたわ。今度、「妊娠小説」も買ってみよっと。