「そうか、もう君はいないのか」読了。

そうか、もう君はいないのか

そうか、もう君はいないのか

こどものもうそうblogにて紹介されていて面白そうなので購読。
この作家自体は全く知りません。タイトルに惹かれて購入しました。秀逸すぎるよ。
妻とのはじめての出会いを「天から妖精が降りてきた」とか「妖精か天女か」とか「天使」だとか書いてたら、娘に文句つけられたってエピソードがかわいい。かわいいって…。
スイス旅行で「妻がハンドバックに、どれほどのお金を持っているか知らぬのは、夫ではない」と警官にイチャモンつけられて憤慨してるのがかわいい。かわいいって…。
妻が癌だと判明した時や、人知れずその予兆があったことを後々悔やむエピソードの哀しさが淡々と綴られていて遣る瀬無いなァと。


著者が好んだ言葉で以下の箴言が綴られる。
「静かに行く者は健やかに行く 健やかに行く者は遠くまで行く」(原文:Chi va piano, va sano e va lontano)
もともとはイタリアのことわざなのかな?作中では「イタリアの経済学者パレードが好んだ箴言」と紹介されてます。
ググって見たら「パレードのもの」だとか「経済学者レオン・ワルラスの言葉」だとか情報が錯綜しとる。
まァ「パレードのもの」ってのはほとんど城山三郎経由の情報として紹介されてるんで、紹介した人が勘違いしてるみたいだけど。


どうでもいいですが、自分が好きな箴言ラ・ロシュフコー
青春とは不断の酔心地である、つまり理性の熱病である
ってのがあります。
自分が読んだ角川文庫のはもうちょい分かりやすい文だった気がするけど、探すのめんどいんで。


それはともかく、城山三郎による妻の喪失と、あとがきとして、その娘による両親の喪失について綴られていて、
後者は予想だにしてなかったんで不意打ちくらってグっときた。
最近おおいなァ、不意打ち感動。