「ケータイ小説的。」読了。

唯脳論」を読もうとしてもすぐ寝ちゃうので、先にこっちを読む。2日で読了。アルェー?
それはともかくこどものもうそうblogで取り上げられていたので興味を持って購読。
ケータイ小説がどこから来て、何を生み出しているのかについての考察。多分。


本田透の「なぜケータイ小説は売れるのか (ソフトバンク新書)」と軽く比べてみると、こちらのほうがやや俯瞰気味で分析してるかな?
ヤンキーからコギャル、そして浜崎あゆみと共に復興してきたヤンキー文化と、ヤンキー文化が内包する地域社会の裏の結束。
それをケータイ小説のテンプレートから読み解くあたりに啓蒙。


しかも旧ヤンキー文化と異なる現代の郊外型ショッピングモールに拠って形成されるファスト風土による地域文化。
ショッピングモールと聞くとどうしてもゾンビを連想しますね。あとエドワード・ノートン
そしてケータイ世代の恋愛における束縛というデートDVについての考察で、新しい恋愛形式を認識。

まァ新しいとはいえ「暴力のあとにやさしくするDV男」ってコレだめんずだよな。っつーかヤクザの常套手段だよな。
デートDVのエピソードの際に「赤い糸」ないのエピソードで主人公の高1カップルが妊娠した際のオトコノコのリアクションにドギモ抜かれた。

「美嘉おめでとう!俺らの子産もう。産もうっつーか産んでくれ。俺、学校やめて働くし、ぜってぇ二人幸せにすっから」。そう答えたヒロは、三日後に自分の親にそのことを打ち明ける。「なんと美嘉が妊娠しましたー!今、美嘉の腹に俺との赤ちゃんがいま〜す!で、俺ら産むことに決めたから」。

この展開って言うかリアクションっていうか…ナニコレ!?すごい。正直わからない。もう、価値観が違う。すごい。すごいとしか言いようがない。
恋愛小説ふいんき語り」でレイプへの認識が軽すぎて麻野さんがいきどおっていたのもここらへんの世界観の違いなのか。
んで、ふと思い出したのが先日のTBSラジオストリームのコラムの花道で「アメリカ・マサチューセッツ州の小さな街で女子高生17人が同時に妊娠するという事件」について話していたこと。
アメリカのマスメディアの一つの特色として、「妊娠」という報道がセンセーショナルな価値を持ち、「妊娠」をきっかけに名が売れることがある。
また、郊外などの片田舎にすむ、人生に起伏のない人々にとって「妊娠」が数少ない「ハレ」のイベントであることetc
もともとショッピングモール文化はアメリカ発祥(エドワード・ノートンの祖父が発明)であるから、近似する文化が形成されていたとしてもおかしくはないんじゃないかと。


あと面白かったのは一世代前の「丸文字」と「ギャル文字」に共通するコミュニケーション文化。 コレは2ch語もか?
他にアダルトチルドレン云々の話があったが、コレは以前3冊ほど読んだ「やさしさ文化」で読んだことと共通する話かな。


また、あとがきに「多くのオタク論が幅を利かせている中、なぜかヤンキー論はほとんど出てこない」ってのが「確かに」と思った。
が、これ、理由はなんとなくわかるわ。オタク論が多いのは「本屋で本好きの本が売れる理由」と一緒なんじゃないかな。
「ネット上でアンチネットバッシングが盛んな理由」とも同じなんじゃないかな。 うまく抽象化できないんだが。


さて、参考文献読んでたら色々面白そうな新書あるなー。あとケータイ小説もちょいと嗜んでおくかなー。新古書店で一冊100円ぐらいで売ってないかね。

ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち

ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち