「どちらでもいい」読了。

思春期に姉がどこからか借りてきた「悪童日記」を読んでしまい、色んな意味で衝撃を受けましたよ。
ものスゲー汚い少女が、犬を興奮させ勃起させて自分の性器につっこませるシーンがあったんですが、今考えるとアレはビッチってことだったのか…。
親元を離れて、邪悪な祖母の家に疎開させられた双子の兄弟が、世界の邪悪に打ちひしがれないために互いに罵りあい、傷つけあって、感覚を麻痺させるエピソードがあるんですが
その「訓練」の最後は、「母親からの愛の言葉」に動揺してしまう自分達に気付き、互いに「愛」や「思いやり」の言葉を掛け合い、それにすらも感覚を麻痺させてゆくのが衝撃的だった…。


んで、そんな著者のショートショート集ですわ。一話に付き1ページから10ページにも満たないショートショートが25編。
けっこう多いのが、無情にも強制的な成長の物語。
これは上記の「悪童日記」の成長せざるをえない環境において、強制的に自らを変質せざるをえなかった双子の物語に通じる気がする。


それ以外にも普通にオチがついてて面白かったのが
孤児院で育ち、成長し、出世して社会的地位を気付いた青年が切望する親からの手紙と、彼に訪れる現実の差を描いた「郵便受け」
集合住宅の不健康さに嫌気がさした男が、多少の不便を抱えながらも中心地から離れた田園に家を構え満足するも、思わぬ展開になるコミカルでブラックな「田園」
妻の誕生日にホームパーティーを開く、自分が見えていない夫と、現実に嘆息する妻の、夫婦間のありがちな状況を淡々と描く「ホームパーティー


悪童日記」買って再読してみようかなァ…。

どちらでもいい (ハヤカワepi文庫)

どちらでもいい (ハヤカワepi文庫)