「ベルカ、吠えないのか?」読了。

いま、「ほえないのか」を変換したら「吼えないのか」が一番に出ました。島本先生…。


そんなことはどうでもいいですが、姉から借りたベルカ読了。
古川日出男は以前「二〇〇二年のスロウ・ボート (文春文庫 (ふ25-1))」に挑戦したけど、文体があわなくて挫折したのだよなァ。
まァ、今回はそこまでクセのある文体でもなかったので(ないことはないのだけれど)すんなり読めました。


世界大戦と共に生み出され、現代に連なる軍用犬の系譜と、とある謎の組織に軟禁されたヤクザの嬢の物語が交互する物語。
とある島にて、アメリカ軍に鹵獲された4匹の犬から連なる、長い長い犬の歴史。その物語はつがいや、兄弟の横軸と、子孫の縦軸とで連なり、広がり、交差していく。
それぞれの犬は日本籍を持ち、アメリカ籍を持ち、ソ連籍を持ち、中国籍を持ち、捕虜となり、転属し、野良犬となり、また所属する。
長い長い犬の歴史は、人間の世界に影響され、人間の世界を変革する。ソ連スプートニク2号から見下ろすライカ犬が、犬の歴史をはじめる。


個人的にはグッドナイトの激動の生涯にボロ泣きしました。くそう、犬畜生の分際で……おお、おお……この二度目の恩義には、僕は、生命をかけて報いる!


しかし、怪犬仮面はないなァ。

ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)

ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)