「フリーター、家を買う。」読了。

いつもの有川浩ファンの子から借りた新作。初っ端から重くて死にたくなる。

フリーター、家を買う。

フリーター、家を買う。

入社して早々の洗脳気味の自己啓発系の新人研修に違和感を覚え、この会社はあわないと3ヶ月で勝手に辞表を出し、なし崩しのまま実家暮らしのフリーターとなった武誠治。
申し訳程度の就職活動と、高い自尊心のために転々としたアルバイト生活に明け暮れ、食費を入れてることを免罪符に、家族との交流もおろそかにしていたある日、その報いが予想もしないところから受ける。
母親が、鬱や妄想など複数かつ重度の精神病に罹ってしまっていた。
さらに、遠方の開業医のところに嫁いでいるはずの姉が帰ってきており、姉から知らされた長年のストレスの原因と、その起因は、誠治には思いもよらぬものだった。


えー、この時点で大体30ページ弱なんですが、出かける際の電車の中で読んでて死にたくなりました。きついよー。


そして、姉と父親の喧々囂々。姉とともに母を精神科医に診せにゆき、通院と投薬による治療の説明。新しい生活のはじまり。
ここまでが第一章。 ここまでを帰りの電車で読んで、電車の中で泣きそうになった。しぬる。


んで、色々とフリーター武誠治の奮闘があるんですが、今回は珍しく恋愛要素は薄めです。まァそれでも軽くキュンキュンしましたが。
P248の「千葉ちゃん」エピソードがニマニマする。


今までの作品でも感じていましたが、この著者の作品は刊行順に読んでいくと前の作品で軽く触れられるガジェットや物事が後々ストーリィのメインになってることが多い。
自衛隊三部作のミリタリィ知識が図書館戦争他に受け継がれてるのはもともと好きだからだとは思うけれども
図書館戦争」での「難聴、難聴者」はその作中作である「レインツリーの国」に。
「別冊 図書館戦争」での「性犯罪」は「三匹のおっさん」に。(うがちすぎか?)
阪急電車」での「野草狩り」は「植物図鑑」に。
今回の作品でも「土建」は「三匹のおっさん」で登場してたし、村八分云々も、「海の底」であった。


引き出しが多いのか、探究心的フットワークが軽いのか。
多分両方だと思うけど、結果として取り扱う題材やテーマのバリエーションが豊富になって、目が離せない作家となってしまったわい。