「虐殺器官」読了。

篠房六郎をはじめとした、様々な人たちからの評価が高かったのに、今年の3月に癌によって夭折されてしまった伊藤計劃氏のデビュー作。

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

しまった…読まなければよかった……。もう、この作家の新作が読めないなんて絶望的すぎる。


読み始めてすぐに、シニカルでリズミカルな文体にある作家を思い出した。「ファイト・クラブ」の原作者であるチャック・パラニュークだ。
この作家は、日本のチャック・パラニュークだ。
11作中、5作目で翻訳化が止まってるパラニューク作品への渇望を癒してくれる作家だ。
小説によるテロリズムだ。
矮小な世界観への暴力だ。
不完全な忘却への嘲笑だ。
単純な愛と喪失の物語だ。
真面目に悪趣味な冗談だ。


あー、素面なのに酔ってるような感想に。まァ、そんだけすごい作品ですよ。
あと著者がMGSが大好きだったみたいで(MGS4のノベライズもしてるし)メタルギアシリーズをプレイしていれば、聞いたことのある単語が頻出しますぜ。


それと、篠房六郎先生の伊藤計劃氏の思い出と追悼の文を読むと、なんとも言えなくなる。
+ '09年03月23日(月) ... 伊藤計劃先輩のこと +
百舌谷さん逆上する(3) (アフタヌーンKC)にも、巻末ページにおまけ漫画で語られてたものを読むと感慨深い。