「デンデラ」読了。

佐藤友哉の最新作……だったもの。 後回しにしてて、最近ようやく購読。

デンデラ

デンデラ

70歳を超えると『お山』に棄てられる『村』のしきたり。 『お山詣り』することで、極楽浄土に赴けると言う風習を受け入れていた斎藤カユ。
しかし、山の中で意識を失った彼女が目を覚ますと、そこは『お山詣り』から逃げ出した老女たちが生活を続ける秘密のコミニュティ、「デンデラ」だった。
死ぬこともかなわず『お山詣り』を達成できず、穢れてしまったと意識した斎藤カユは、勝手に生きながらえさせられた怒りを抱えつつ、デンデラについて様々なことを知りゆく。


皆で力を合わせ、自分たちを棄てた『村』を襲撃し、復讐しようと言う襲撃派、『村』よりも、デンデラの繁栄を優先させる穏健派と、対立する派閥構造と
村ではロクな知識を与えられず生活の道具として扱われてきたために、道具の作り方や建築などの知識に乏しいために、粗末な生活を余儀なくされる環境。


老女たちの奇妙なコミュニティは何かのカリカチュアのようでいて、老女であるがゆえに日常の先に常に死が付きまとう。
「如何にして死ぬか」という緩慢な日常は、巨大な羆という突然の暴力の襲来に、修羅場となる…。


社会のカリカチュアとしての小さなコミニュティ内での群集劇といえば、若者や子供たち、もしくは擬人化された動物の集団がよくあるのだけれども、
それを70前後から100歳の老女たちで描く意味を考えたい。