「冷たい熱帯魚」鑑賞。

シネ・リーブル博多駅がハッピーフライデーで一本1000円かつ、ダブルポイントデイだったので、意気揚々と映画を見に行く。

寡聞にして詳しくは知らないが、実際に起こった事件をモチーフに描いたサスペンス映画…?


冒頭から冷凍食品のみの夕飯をつつく核家族世帯。食事中にもかかわらず一人娘はかかってきたケータイの呼び出しに躊躇なく家を出、遊びに行く。
何も口出しできない両親の、うつろな夫婦仲が映し出される。そして、一本の電話により、主人公である父親は奇妙な邂逅を迎え、加速度的に非日常へと足を踏み入れてしまう…。


吹越満演じる主人公・社本信行は、巻きこまれ型の可哀想な一般人だが、行動の端々や、でんでん演じる村田幸雄に言及されるように、現実から目をそむけ、ファンタジーに浸ろうとする。
クライマックスにて劇的なパラダイムシフトを起こすが、いずれにせよ別のファンタジーに乗り換えただけで結局は破滅への道をショートカットしただけだった。
タイムコードにて異化効果を演出し、冒頭のシーンのやり直しを行うが、結局のところ、そういう風にしか作用されなかった。


全体的に、笑えるようなおののいてしまうような、紙一重の役者陣のたち振る舞いが素晴らしかった。客席が笑うのは分かるけど、どうしても笑えなかった。まだまだアタマ固いわ…。
クライマックスの殴れのくだりや、村田幸雄がか細く父親に謝る言い回しでボロ泣きした。 駄目だって……こういうの…。


いや、しかしラストシーンの後味の悪さ……。すごい映画だった…。