「醜聞の作法」読了。

殊能将之Twitterから知ってフォローして、頭がいいけど喧嘩っ早い、怖そうな人だなァ…という失礼な印象を。

醜聞の作法 (100周年書き下ろし)

醜聞の作法 (100周年書き下ろし)

これがべらぼうに面白かった。 風刺具合が殊能将之と気が合いそう。


18世紀フランスはパリを舞台とした書簡体小説。 ある男性が貴族の奥方にあてた手紙で始まる。
読み進めるうちに、奥方が死んだ友人から引き取った養子である少女が貴族の放蕩仲間に見染められ、あまつさえ恋人と引き離されようとしている事がわかる。
そして、その放蕩仲間との縁談を壊すために一人の弁護士に、裏の仕事が依頼される。 パリ中に、貴族たちの醜聞を流すこと…。


文体やキャラクタたちの言動がパリジャンっぽいというか、軽妙洒脱でイカス。
特徴的な文体で異化効果を生む手法は少なくはないけども、その言い回し自体がセンスが良くて、読んでて楽しい。
そして読み進めていくうちにこの書簡自体がメタ的な構造になっている事に気付く。
また、クライマックス直前のシャン・ゼリゼで表れる案内役の男の機智に富んだセリフの風刺の効き具合が抜群にカッコいい。
日々日々現実から目をそらして囀りまくってるボンクラには耳が痛いのである。であった