「聖なる怠け者の冒険」読了。

最近ちまちまと名声をあげてきた感のある森見登美彦の著作。

聖なる怠け者の冒険

聖なる怠け者の冒険

ぼんくらモラトリアムと、祭りの非現実感が織りなすマジックレアリズムに、やわらかくころがる怠け者たちの小冒険。


新刊が出るたびに、ぼんくら大学生と京都的マジックリアリズムの融合が加速する森見作品の現状最新作。
もはや大学生ではないのだけれども、だからこそ際立つ、ぼんくら≒怠け者の怠惰にまみれた隔世感という奇妙なキャラクタライゼーション。
入れ子構造の胡蝶の夢に苔むす主人公の周りで巻き起こる宵山の夜の騒動が、そこはかとなしに内なる怠け者たちを小冒険に駆り立てる。
ローテンションで迷い込む小冒険の舞台は、胡蝶の夢よりも幻惑に彩られた京都の、宵山の夜。
スクリーンで映像化されると気持ちよさそうな物語であった。