「ドストエフスキーと愛に生きる」&トークショー参加。

カフカ全訳などで知られる池内紀さんと、そして、トヨザキ社長のトークショーに惹かれて、お堅そうなミニシアターを鑑賞。
 
84歳の翻訳家の老女が語り紡ぐ、本と翻訳に寄り添い、そして国家と戦争に巻き込まれた生涯。
「私は人生に負い目がある」と冒頭で語る彼女は、スターリン政権とナチス政権の二つの独裁主義に振り回され、近しい人を失いながらも
彼女自身の能力によってその時代を渡り歩き、また、それがアンビバレンツとなって彼女自身を苛む。そして、彼女を救ったのは文学であり翻訳であり物語と言葉だった。
ドストエフスキーの長編5本を「五頭の象」と呼び、生涯をかけて翻訳するにいたった彼女の人生が、濃密に、静謐に、時にユーモアを交えて映し出されていた。


とか言ってますが、正直序盤の方ちょっとうたた寝てました。前情報入れなさすぎたわ。 トヨザキ社長のトークショー目当てだったんで。
とはいえ、中盤ぐらいからの翻訳についての想いや、共産主義スターリン政権に父親を殺された中、ナチス政権の侵略を歓迎し、語学力を見込まれ通訳として雇われるも
すぐに起こったユダヤ人虐殺事件で友人が犠牲になったことと、その主権者に雇われているのではないかという疑念を、複雑な表情で語り、押し黙るシーンが印象的だった。


トークショーも興味深くて素晴らしかった。 トヨザキ社長のトークまわしも手慣れたものでした。
映画でも語られていたけれど、翻訳作業は単語を一つ一つ変換するのではなく、全体を見渡して物語を内面化して、作品の橋渡しをするようなものだと。
あと、翻訳家のタイプとして、3タイプある。というくだりが面白かった。そして忘れた……。ええっと、三つ目のわんぱくは覚えてるんだけど……おとなしとおりこうだっけ?

トークショーのあと、トヨザキ社長の新著を購入してサインしてもらいました。
いろいろお話ししたかったんですが、タイミングがつかめずにしばらく棒立ちして不審者っぽくなってしまったのであきらめて帰りました。 乙女か。


しかし上映前にソファの端に座って待ってたら、後方横から聞き覚えのある声がするな……と振り返ったらトヨザキ社長が主催者の方とお話ししてたのはびっくりした。控え室とかないんかい。
あと、開場前に整列して待ってたんだけど、後方の御年配の男女と、若い女性の会話の教養が高すぎて何故か緊張した。
普段自分が耽溺してるサブカルとかそんなんじゃなくて教養だった。 どうも大学の教授と生徒とかっぽい。シャッポを脱ぎました。
会話の合間にちょっと口を挟んだら「学生さん?」と尋ねられました。ただの人です。