なんだかんだでいろいろ消化。

あははとかニコニコとか言いながら夢幻魔実也、超外道。 しかもオチで。
真相は分かるけど基本後手後手。 奇妙奇怪幻想重視。 スバラシス。
しかも昭和50年代の作品。 名作は色あせないなァ。 きっと当事でも異端であったと思う。 思いたい。
あと、クトゥルー系もところどころアリ。 ネクロノミコン? まさか!こいつはまゆつばものだな…。
 クレイジーピエロもクレイジー。 
少女一人を助けるために何十人も死ぬ。そして結局その少女も助ける事が出来ない。
ある災厄から誰かを何かを守ろうとするとき、やつがもたらすのはより大きな破壊とより多くの死だ。
 そのほか短編も最高。奇妙さでは「顔がない」「骨笛」が、非道さでは「義眼物語」「腸詰工場の少女」が、すばらしい。

政治、皇室スキャンダル以外は面白かった。どうにもそのネタになると一気に歴史くさくなるなァ。
政権争いネタはまったくピンとこない。
鬼に関する話になると鬼の研究 (ちくま文庫)に載っていたモノと同じネタがあったが、取り上げ方が異なったので面白かった。
「阿用の一つ目鬼」

…古老(ふるおきな)の伝へていへらく、昔或人、此処に山田を佃(つく)りて守りき。その時目一つの鬼来たりて、佃(たつく)る人の男(をのこ)を食(くら)ひき。その時、男の父母、竹原の中(うち)に隠りて居りき。時に、竹の葉、動(あよ)げり。その時、食はるる男、「動(あよ)、動(あよ)」といひき。
故(かれ)、阿欲(あよ)といふ。

このハナシについて、後者は「阿用の若い農夫が「あよ、あよ」という悲鳴とともに絶命した」と解説してるんですが、この本では、まず「佃る人の男」が幼児であることが前提になってて、自分が鬼に食われているときに、父母が隠れている竹林の葉が動いていたので、「アヨ、アヨ」といって両親に危険を知らせようとしたという「自分は鬼に喰われながら、両親を助けようとして声で教えるけなげな息子」という感動的なオハナシという解釈を一般的な解釈として、さらに実は「その時、男の父母、竹原の中(うち)に隠りて居りき」の「隠」が「コモル」という意味ではないかと考察。そうすると、両親は実は竹原のなかでヨロシクやってたんじゃないかと。そこへ鬼がやってきて、息子を見つけてむしゃむしゃと食い始めたと。息子は「アヨ、アヨ」言ってるけどコトにいたってるバカ夫婦は夢中でそれに気付かなかったとかなりブラックな解釈をしております。 黒!


まあその次の鬼に食われる娘の話はダイレクトにそういう話なのでどちらも似たような解釈でした。
要約すると、財産に目のくらんだキレーな女性の結婚初夜に寝屋から「痛い」と声がしたが、
両親は破瓜の痛みだろうと気を使ってそ知らぬふりをしていたら、翌日娘の部屋には
ただ頭と一本の指とが残されているばかりだったという、バカバカしいような怖いようなハナシ。
っていうか、黒いってば。


あと、あらためて表紙みて「会田誠はすごいなァ」とかながめてたら、
オビに「…つまらなく下手な現代小説よりも超読みやすく超面白い古典がここにある!!」と書いてありました。
ううん、アグレッシブ。